2010年9月30日木曜日

シチリア内陸部の不思議な街

先日のシチリア出張で,シチリア島の内陸部の地勢をついでに視察してきた.PalermoからCataniaに向かう高速A19号線はシチリア島北岸を進み,途中から南に進路を変えて内陸部に入っていく.少し行くと,両側にMadonie州立公園が拡がっている.ミシュラン観光ガイドによるとこのあたりの景色がそれなりに素晴らしいのだそうだ.


シチリアでもっとも標高が高いのはEtna山でこれは火山の単独峰だ.それ以外にはそんなに標高の高い山はない.この州立公園のあたりも標高はあっても1000mもないのではないだろうか.この付近には,山深くの崖上などの実に多くの特徴的な街が展開しているのだ.

例えば,州立公園の南西端にあるSclafani Bangi.ここに辿り着くまでに,路面がぼこぼこ(施工不良で修繕も無し)の幹線道路を延々と進まなければならない.途中で車が故障したり,盗賊に襲われても誰も助けてくれないようなところだ.そんな道を進むと,見るのには大変美しい崖上都市が目に入るのだ.そこに行くまでにも,山陰に隠れたような場所に割と大きな街が展開している場所を見つけることが出来る.古代から支配者が何度も変わったシチリアのこと,敵に襲われないように,難攻不落の場所を選んで寄り添って住んでいたのだろう.敵のいない現代ではこのような場所は不便きわまりないのだが,依然として人々が住み続けていることに,ある種の驚きと敬意を感じざるを得ない.

今度は州立公園を東側に進んでいくと,岡の頂上に展開する面白い街を発見(名称は正確に覚えていない).丘上から斜面を下るに従って建物が新しくなるのだ.最初は丘の頂上付近に防衛を考えて居住していたのが,規模拡大と幹線道路へのアクセスを考えて徐々に坂下に街が拡がったと見るのが正しそうだ.頂上付近に住んでいた人は不便なので,坂下の新市街に移り住んでいるのではと想像される.恐らく古い集落を作り替えたり撤去する費用までは捻出できないのだろう.なにか出来るだけ同じ街に住むという執念を痛感させられる.

この日は中央部のEnnaに宿泊した.ここは標高1000m弱に展開する数万人規模の大きな崖上都市だ.アクセス道路は最後は全てきつい上りになるのだ.鉄道駅も崖下だ.朝は深い霧につつまれてなかなか幻想的であった.

0 件のコメント:

コメントを投稿