2010年5月10日月曜日

ついに病院に(2)

前回の続き.ローマの日本人医師Nさんの診察を受けた.彼の病院はサンピエトロ寺院の近くにあり,アパートの一室が診療スペースだ.

病状やその前に食べたものをきちんと説明する.まずは前夜の夕食のステーキについて説明したが,彼の反応から察するとそれが原因ではないようだ.次に,昼食にスーパーで買ってきた冷凍ピザを食べたと言うとすぐさま「たぶんそれだ」とおっしゃるではないか.同行した家内は8分の1,私が残りの8分の7を食べている.子供は学校でお弁当だから食べるはずがない.夕食が原因だったら被害は私だけでないはずだ.

腹部を触診する.東洋医学をベースとした内科医であるN氏,何かしらの検査をすることなく,「大腸のこの部分が炎症を起こしてますね,血便の原因はこれでしょう.おおごとではないから大丈夫」と,ホッとする一言.赤痢でなく,大腸炎という診断結果だ.

では,冷凍ピザでどうして血が交じるようなひどい下痢になるのか? 彼の説明を要約すると,「こちらで気をつけて欲しい食べ物が3つ.一つ目は乳製品.例えば牛乳はあまり飲まない方がいい.二つ目はピザ.信頼できるお店でしか食べてはいけない.三つ目は特に夏場の海産物,ムール貝は薦めない.冷凍のシーフードミックスもダメ.逆に食べて欲しいモノは,野菜,パスタ,肉類で,いずれもスーパーよりマーケットで調達すべき」,ということ.ピザは注意すべき食べ物らしいのだ.

スーパーで売られている冷凍品の温度管理が不十分らしい.出荷時は良いのだが,流通の過程で不徹底となるそうだ.乳製品であるチーズをふんだんに使ったピザの冷凍品,これを聞けば決して手を出してはいけない代物だということが分かる.「スーパーが登場してきたのはここ10年くらいで,まだ信頼できない.マーケットにある本当に信頼できるお店で自分の目で食材を購入することが基本」とのコメント.私が生まれる前からローマに滞在されているNさんのお言葉だけに本当にそうなのだろう.言葉が不自由な我々にとっては非常につらいところだが,極力マーケットでがんばるしかないと家内と誓うのであった.まあ,日本だってスーパーが優勢に立ったのはたぶん30~40年くらい前で,その前には似たような話があったのだろう.

今回は診療所が保険の請求を自分で行ってくれるので,一切お金を払っていない.診察料がいくらだったか分からなくて残念だった.薬は日本のシステムと同じで,医師の処方箋を近くの調剤薬局に持って行き,薬を出してもらう.こちらは英語が十分過ぎるくらいに通じたので一安心.整腸剤だけだったので,事後請求(これは自分でやらなきゃダメ)が面倒なくらいの金額だ.

深刻でない結果を聞き,いつの間にか立ちくらみが治まっている.そのまま観光にでも行けそうな感覚だったが,念のため自宅に戻り静養することにした.これを書いている現在は完全復活しているのでご安心下さい.しかし,予想に反して私がトップバッターになるとは...

ちなみにイタリアは,中部より南の衛生状態はギリシャやトルコと同程度と思った方が良いとのことだ.ご旅行の際には十分にお気を付けあれ.

3 件のコメント:

  1. お疲れ様でした。それにしてもスーパーが信頼出来ないのは日本人からすると辛いですね。ローマに入ってはメルカートに従え、ということでしょうか。

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  2. 大変でしたね。ちなみにタマゴもお気をつけ下さい。生だけでなく、バールのクッキーでやられた経験があります!でも新鮮なもので生卵がけご飯しちゃったチャレンジャーでもあるのですが。スーパーが全て危険!とは思いませんが(ほとんどスーパーで生活していましたから)、冷凍食品は全く食べませんでしたね~今考えると。南に住むナポレターナさんはソースに使うトマトは全部冷凍してましたよ。メルカートもカビはえたまま平気で売ってますので、それはそれで気をつけて下さいね。

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  3. ちょっとメルカート至上主義的に書いてしまいましたが,スーパーも併せて信念に沿ってきちんと使いこなせということでしょう.

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