2011年1月31日月曜日

イタリアの役所:限定的な情報公開,言語の壁,内向き指向

何度も書くが,滞在が残り少なくなってきた.さすがにものすごく焦っている.「ほとんど知られていないイタリアの交通事情を調べてきます」と言って出国してきたが,あまり調べているとは言えない状況だ.

11月末に,日本大使館や現地企業の方々で構成している産業研究会に講師としてお呼ばれしたので,イタリアと日本,ローマと東京を統計データで比較して,それらの交通システムのマクロ的な特性を探るような話題を提供した.その準備の時に,日本の国土交通省に相当するイタリアのインフラ運輸省のホームページを,目を皿にして政策や施策の状況を閲覧しまくったのだが,情報はほとんどイタリア語だし,情報そのものがあまり公表されていないので,大変難儀をした.

関係各位が私がイタリアに滞在していることを知っているので,多数の原稿執筆依頼が入り込んでいる.少しはヒアリング調査でもかけないと満足な原稿が書けそうにないないので,12月上旬に,大使館に協力を依頼して,インフラ運輸省の政策担当者にヒアリング調査の依頼をかけることにしたのだった.

各種調整の結果,1/13に最初のヒアリング調査を行うことになった.壁になったのは言語である.今日現在までに4部局にヒアリングをかけたのであるが,そのうち3つは「英語が出来ないので通訳を付けて欲しい」とのこと.仕方ないので通訳を用意してヒアリングに臨む.

通訳付きのヒアリングは,こちらも気分が楽なのだが,時間がかかるのが難点だ.担当者もせいぜい2時間付き合ってくれるのが限度.こちらが尋ねたいこととは違う内容を話し出すこと多々あるので(イタリア人はしゃべりたいことだけをしゃべる傾向にあるかも?),ヒアリングのコントロールに大変難儀することになるのだ.

ただ,このようなことは事前に想定できたので,後で裏を取るために,「もし対応する文献があれば,イタリア語のみでも全然構わないので,それをご提供頂ければここでコメント頂かなくても結構なのですが」と常にお願いしている.それでも多くのケースで,「適切な資料は存在しない」と言われてしまうのだった.そんなわけでヒアリング調査は進んでいるが,肝心の有益な情報が取れているのかどうか,大変心配な状況だ.はぁ,どうしよう.

ヨーロッパの政策や施策の先進事例を調べるために,これまでに何度もヨーロッパ各国でヒアリング調査を実施してきている.しかし,イタリアは今回が初めてだ.これまでにも何回か調査の依頼をしたことがあるのだが,全部無視されてきたのだった.他国の担当者は大抵きちんと対応してくれるので,そのギャップに不自然さを感じていた.無視される理由の大部分は,英語で対応できないから無条件ではねつけられていただけかも知れないと,今回改めて感じた.

また,「あなたの国の政策を是非知りたいです」といってくる研究者や実務者がアポを取ってきた時に,全力を挙げて対応するのが国際的な常識だと思っているのだが,どうもイタリアは「他国に自国をいいと思って欲しい」,「他国がどうなっているか状況を知りたい」といった感覚に欠けている印象が強いと感じる.「周辺諸国と比べた時のイタリアの政策の特徴は?」と尋ねても,「他国の状況は知らないのだが」と言われることが多いのだ.

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