翌1/4はミラノから日帰りでトリノに向かうことにした.距離は150km弱なので,高速道路で2時間もかからない.トリノは10年くらい前にある学会に参加するために出張で行ったことがあるのだが,この時は観光をほとんどせず,しかもホテルが足りずに市内に取れなくて,鉄道で1時間くらいのところにある街に宿泊を余儀なくされた.冬季オリンピックまであと数年,こんなんで大丈夫かと思ったものである.
今年はイタリア統一から150周年だ.主導したのはトリノを首都とするサルデーニャ王国.そのため,最初の首都はトリノに置かれた.数年ごとにフィレンツェ,ローマへと移動してしまったので,わずか数年の栄光だ.近代のトリノの発展はフランスの影響を強く受けている.街並みは統一感の取れた見事なバロックだ.バロック都市は実は個人的には余り好きではないのだが,ここまで統一感があると素直にその良さを感じざるを得ない.
さて車をポー川近くの大規模駐車場に泊めて,歩いて中心部へ向かう.最初に目指すのは,何よりも世界遺産の対象となっている王宮である.王宮の券売所でチケットを購入するが,ガイドが付く時間制のようで,午後2時からの入場と書いてある.仕方ないので,それまでは街をぶらぶらして時間を過ごす.
いよいよ2時に.しかし,どこに行っていいのか,館内に全くインストラクションがない.あるドアから入ってそこにいた係員にチケットを見せると,入ることが出来た.入ったエリアはイタリア統一前後のサボイア家の物語が,細かく分かれた豪華な部屋の中に,展示品と共にパネルで紹介されている.「確かガイドツアーがあると聞いていたのだが」と思いながら,その展示コーナーが終了.次のポイントには階段を上がるらしいのだが,そこで係員にチケットを見せると,「あなた方のチケットはここは対象外」というではないか.チケットを買う時にそもそもチケットの種類を聞かれていない.結局,チケットに書いてあった時刻は実態的にはどうでも良かったことが判明.世界遺産を名乗っておきながら,この扱いには心底怒りがこみ上げてきた.
こんな街からはとっととおさらばして,最後に郊外にあるSuperga聖堂に立ち寄る.ここはサボイア家の菩提寺で,これも世界遺産の対象の一つ.が,正直言って,大したことはないと感じた.と言うわけで,久しぶりにイタリア観光施設のいい加減さに直面した一日だった.お陰でトリノの印象は最悪である.
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