翌日の日曜日,あいにく朝から豪雨である.しかも底冷えがする寒さだ.それでも行かなければならない理由があったので仕方なくArezzoに向かう.Sienaからは80kmくらいの距離であるが,ほとんど高速道路なので1時間ちょっとで到着する.
ArezzoはSienaと違って台上の都市ではないが,その替わりに城壁に囲まれている.日曜日で豪雨であったせいか,街のへそにあたるG.Monaco広場近くの駐車場にすんなり車を泊めることができた.ここからは主要な見所までは徒歩圏内だ.幸い,雨が小降りになってきたので散策を開始する.
Arezzoに来た理由は,San Francesco教会の有名なフレスコ画を見に来たからだ.時間帯当たりの見学可能人数が決まっているのだが,事前予約が可能なので,金曜日の内に予約しておいたのだ.予約段階で料金が決済されるので,キャンセルするわけにはいかなかったのだ.予約票を持って事前にチケットに交換しなければならない.予約時刻である13時よりもだいぶ早かったので,「空きがあったら早い時間に振り替えてもらえないか?」と聞いてみると,「今日は13時が一番最初の時間帯です」と言われる.そうだ,日曜日だから午前中はミサだな...
13時まで2時間あるので,街中を練り歩くことにする.まずは市庁舎へ向かう.Toscanaの街の市庁舎はだいたい似たような建物のようで,もはやそんなに感動しない.次にDuomoに向かう.ロマネスクとゴシックが混ざったような様式だ(最近はこのくらいは分かるようになってきた.それで大体の建立時期が推測できる).SienaやFirenzeの派手なゴシックのDuomoを見てきているので,感動度はやや低いが,それなりに荘厳である.たまたま正午の鐘を聞くことになったが,これはそれなりに見事だった.
たぶんDuomoが旧市街で一番高いところにあり,ここから坂を下ってSanta Maria delle Pieve教会に向かう.これはPisa式ロマネスク様式のファサードが有名で,教会のファサードとしてはユニークではないかと感じた.その後にピザをぱくついて,いよいよメインディッシュのフレスコ画である.
そのフレスコ画,Leggenda della Santa Croce(聖十字架伝説というらしい)は,ルネッサンスのフレスコ画の最高傑作と言われているらしい.主祭壇奥の囲まれた空間の正面,左右の三面にそれが描かれている.実は,チケットを買わなくても,このフレスコ画の一部は主祭壇近くから見えるのだが,一番有名なシーンはやはりチケットがないと見ることが出来ないようだ.正直言って,どのような点が素晴らしいのかは分からないが,保存状態はまあまあ良かったことは救いだ.フレスコ画なので基本的に鮮やかでなく,高い所の画はあまりよく見えない.6ユーロも取るのだから,もう少し見せ方を考えてくれてもいいのではと思う.それでもこれまで来てみたフレスコ画の中では映えてみてたことだけは確かだ.ちなみに撮影は禁止である.
これで散策を終了し,ローマに戻ることにした.途中の高速道路で集中豪雨に見舞われて怖かったが,無事ローマに帰還.その日の夜は雨が雪に変わったそうだ.あぶないあぶない.
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