2010年12月14日火曜日

政治のローマ

今日は朝から,ローマ市内が騒がしい.いや,イタリア全土が同じような状況のようだ.先月に野党が提出していた内閣不信任案の投票が,今日上下院で採決されるのだ.連立与党を組んでいる政党の一つが連立離脱をして(あるいはちらつかせて?),下院で過半数が確保できない状態だったのだ.

少し前に,イタリアの教育の現場を揺るがす法案が可決された.簡単に言えばあらゆる教育の現場での予算と人員の削減が目的のようだったが,これに対する抗議デモも激しかったようだ(ただし数時間で解散?).その日は自宅でこもって仕事をしていたが,交通も一部麻痺したりして,大正解だった.法案成立を主導したジェルミニ教育相は女性だが,なかなかのやり手のようだ.ベルルスコーニ首相と同じくらいの非難を受けているが,新聞のHPに載っていた可決後の彼女の様子の写真は,至って満足感溢れる顔をしていたことが鮮明に記憶に残っている.

さて,不信任決議の結果は,上院,下院ともに否決に終わった.直前まで信任の投票をするように説得が行われ(賄賂の疑いも操作されているらしいところが何ともイタリアだ),2票が棄権で,3票差で否決というベルルスコーニには薄氷の勝利に終わった.これで当面政権交代はない模様だ.この結果を受けたベルルスコーニのゆるんだ顔の写真が,不信任決議の主役の高い緊張度を物語る.それにしても,与党を離脱したフィーニ下院議長とその政党,野党は本当に情けない.ポストを目の前にぶら下げられて翻意した議員も結構いるらしい.

オフィスでは午前中に,近くの大通りをデモ行進がシュプレヒコールを挙げながら行進しているのがよく聞こえた.それを上空から取材するヘリの音もうっとうしい.既に通り過ぎたので今は静かだが,新聞のHPでは,警官隊とデモ隊のかなり激しい衝突があったとの写真が掲載されている.仕事の都合とは言え,こんな日に出勤してきてしまったことを後悔しながらこのブログを書いている.

それにしても,内閣不信任案に連動したこの盛り上がり.あらゆる団体がこの機に乗じて横断幕を掲げる.我が日本ではまず見られないので,少しうらやましくなる.庶民的なバールでも,日常的に政治の話で盛り上がるのだそうだ.一方の,政治家は市民に何を言われようと気にせずに熱心に多数派工作に走る.ローマ(イタリア)の主要産業は政治だという人がいるが,これはかなり言い得ているかも知れないと感じる.こんなに盛り上がるのに,実はだれも政治を期待していないのはご愛嬌だ.

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