一応学者の端くれであるから,どんな国に行ってもなるべく本屋には立ち寄ることにしている.本屋に行けばその国の市民がどの程度の知的水準かだいたい想像できる.
日本では通勤で東京駅を経由していたので,本屋と言えばもっぱらオアゾの丸善か八重洲ブックセンターだった.私の大型書店の基準はこの両者である.これらに比べると,住んでいた横浜の書店レベルは何とかならないのかと常々思っていたものだ.
さて,ここローマでは,「ここに行けば大抵のものが揃っている」と思えるほどの大型書店はないようだ.私が愛用しているのは,Termini駅構内の書店(名前は忘れた),Nazionale通りのローマ三越近くにあるMel Bookstore,Argentina広場にあるLa Fertrinelliの三店だ.これらはローマの中では大きいと思うのだが,店舗面積はたぶん八重洲ブックセンターの2フロアー分くらいしかない.
書店では,主にガイドブック,歴史書物を中心に,ローマやイタリアの地勢や歴史を勉強するのにいい書籍がないか探しているが,なかなか魅力的なものがなくて苦労している.買う気はないが,たまに専門書コーナーも覗いてみるが,充実度合いはかなり悲惨なものがある.英語書籍はかなり限られているのは日本と同じだ.書籍はほとんどソフトカバーで,そのせいか値段は安い.イタリア人はほとんど本を読まないと聞いたことがあるが,確かに列車やバスの中で本を読んでいる人もそんなに見ないので,全然売れないのだろう.安くて売れないとは作家も大変だろう.日本みたいに多様な作家の新刊書が雨後の竹の子のように新刊コーナーに並ぶという環境ではないようだし,出版業界は全然儲かりそうにない.
書店では必ず地図コーナーを覗くことにしている.この地図のレベルがなかなか悲惨である.「これはいい」と思える地図になかなか辿り着かない.道路地図は縮尺が大きすぎて,都市部の詳細図も貧弱で,全然使えない.まあ,詳細地図がなくても中心部にたどり着けるので,ニーズがないのかも知れないが.土木屋として地形図なんかも欲しいところなのだが,これは軍事関係機関に発行を依頼しないと入手できないようだ.ちなみに,地図やガイド類はさすがにTerminiの書店が一番充実している.列車待ちの時間で気が向いたら是非立ち寄ってみて下さい.
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