先々週と先週は,家族内でインフルエンザとおぼしき発熱の連鎖に見舞われた.特に長男は40度近い発熱と嘔吐が続き,慣れない異国の地で大きな不安を覚えた.
日本では,インフルエンザの疑いがあるとすぐにタミフルやリレンザの投与が医師から指示されるようだ.ある薬を飲むとそれが胃腸に負担をかけるので,それを緩和する薬も同時に投与されるといったことも多いように思う.いわば薬漬けで病気を治していくスタイル.
ここイタリアでは,サンプルが少ないのだが,医師も人々も自然治癒を旨としているように思える.薬を出来るだけ使わないようにして,人が持っている免疫力や抵抗力を高めていくやり方だ.この場合,高熱と嘔吐が続いているからと言って泣きついても,「まあ様子を見て下さい」というのが基本の診療になる.嘔吐には吐き気止めを処方せず,「スプーンで徐々に水をあげて下さい」という根気を要求する指示が来る.
一見不安であるが,冷静に考えれば,確かにそれでも最終的には直るのだ.イタリア式では治癒までの日数はかかるかも知れないが,長期的には病気でダウンするトータルの日数が少ないのかも知れない.想像だが,子供が病気の時に親が簡単に仕事を休める環境もその一因だろうし,基本的に近くに住んでいる祖父や祖母の存在も大きいだろう.
日本では子供が病気の時に,親の仕事への影響を最小限にするために出来るだけ日数を短くすることが社会的に要求されているようだ.同時に,核家族化が進み,相談相手のいない不安から極度に医者に頼り,そのせいで医師が疲弊して医師不足になるといった悪循環が生じているのかもしれない.
上で書いたことが正しいのか完全な自信はないが,病気への対処法は,その基本理念だけでなく様々な社会的要因が影響している可能性があるのだと,思わず考えてしまった二週間だった.
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