私の仕事は大学教員である.所属する大学とこちらの大学の教員交換プログラムでローマにやってきた.滞在ビザをとるのに難儀をして,結局とれないまま渡航を強行した.なんでも適当になっているように見えるイタリアのくせに,変なところで律義な対応をされてしまった.イタリア大使館スタッフの横柄な態度を思い出すと今でも腹が立つ.
さて,2010年4月6日の夜に家族そろってローマに到着した.ラッキーにもこちらでの住居は渡航前に決まっていたが,初日からいきなり生活できるとは思えなかったので,ホテルをとっておいた.荷物も大量なので,レンタカーも予約しておいた.空港に到着してトラブルなく荷物を受け取り,至極簡単にレンタカーも借りて,いざホテルに向けて出発.
大学では交通システムを研究している.そのため海外出張が多く,レンタカーを借りて異国の地をドライブすることも多い.右側通行にも慣れている.方向感覚や初めての地での土地勘にも優れていると自負している.ホテルの位置や主要な通り名も事前に頭に叩き込んでいるので,全く心配していなかった.
空港から高速に入り,ローマ中心部へと向かった.途中でGRAと呼ばれる高速環状線に乗り換え,Uscita26で降りるとホテルがすぐそばにある.しかし,GRAをやり過ごし,いつの間にか高速道路が終わってしまった.道路案内標識が暗くて全然見えなかったのである.フォントも見えずらく,何よりも字が小さいと感じた.その後,一般道路は案内標識がほとんどなく,通り名の小さな標識も交差点部にしかない.あっという間に自分がどこを走っているか分からなくなってしまった.こんなことは最近では珍しい.
こんなときに頼りになったのは「方位磁石」だった.渡航前日の土壇場で買っておいた.南に向かい続け,GRAの入口を発見した.今度は向きを間違えた.まだ左側通行の頭の構造になっていて,瞬間の判断を間違えたようだ.結局,空港から10km程度のホテルに到着したのは着陸から2時間余り経過した時だった.子供たちはフライトの疲れからぐっすり眠っている.無理やり起こしてベッドへ運ぶ.風呂も入る元気もなく家族全員で床に入ったのであった.初日からこれでは先が思いやられるなぁと思った瞬間には意識がなくなっていた.
それにしてもローマの交通は批判的に書くことが多そうである.いい面がどれほど発見できるだろうか? 乞うご期待.
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