2010年10月13日水曜日

真っ赤なコロッセオを見て考えさせられたこと

ひょっとするとご存じの方もいるかも知れないが,先週夜に数日間,コロッセオが真っ赤にライトアップされていた.沈む太陽を一身に浴びて赤く光るような感じで,大変美しかった.初めて見た日はその意味が分からずにいた.

家に帰ってからインターネットで日経新聞のサイトを見ると,何と赤いコロッセオの記事があるではないか! 何と中国の温家宝首相がローマに来ていて,その歓迎を込めてこのようなことをしたらしいのだ.そう言えばトラムにも「イタリア中国文化年?」だったかの漢字のラッピング広告が出ていたが,たぶんそのスタートを記念して来伊していたのだろう.

しかしイタリアのテレビニュースで温首相が来ているなどとは聞いていなかった.翌日夜に違う方向から見てみると,写真のように,確かに「中意友誼」という文字が写っている.

最初,これはイタリアにいる中国人コミュニティーが許可を得て主体的にやっているのかと思っていたが,どうやら完全にイタリア側の演出らしい.

例えば日本の天皇がローマに来られたとして,こんな演出をしてくれるだろうか.あるいはオバマ大統領はどうか.恐らくこんなことはしないだろう.それほど中国の影響力は大きいのかと実感させられて,思わずあきれてしまった.

しかし片方では,イタリアに滞在する中国人(不法滞在も多い)は,雇用を奪う存在として,またイタリアコミュニティーになじまない異端な存在として,特に現政権の下では排斥のターゲットとなっているのだ.今度実際に見てきたいと思っているのだが,Firenzeの近くにPratoという都市があり,その人口の2割が中国人らしく,国営放送のニュースのトークコーナーで頻繁にその問題が取り上げられている.イタリアにとって,中国は経済戦略上もちろん大事であるが,ずかずかと入ってこられると困る.微妙な感情での歓迎だったのだろう.

それにしても,こちらに来てからでも,日に日に日本の力がだんだん弱くなっていくのを感じるのは気のせいだろうか...

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