2010年10月26日火曜日

過ぎ去った夏が懐かしい

今週から気温が一段と下がってきた.朝晩はついにジャケットの上に薄手のコートを着て外出している.しかもなかなか太陽が出てこない.毎日一度は雨が降ってもなぜか傘をしばらく差していなかったのだが,今朝は久しぶりにカバンから取り出すはめになった.

9月中旬くらいまではまだまだ泳ごうと思えば泳げる気候だった.それがわずか一ヶ月でこんな状況だ.ローマはまだましで,ミラノはもっと寒いようだ.このブログを書いている午後6時過ぎ,外は既に暗くなり始めている.気分は何となく沈みがちで,基本的に暑さの苦手な私が過ぎ去った夏を懐かしむ感情を持っている.

わずか半年しか経験していない私ですらそう思うのだから,多くのイタリア人,ヨーロッパ人もきっと同じ感傷に浸っているのだろうと思う.「だから彼らは短い夏にあんなにはしゃぐのだ」と思わず納得してしまった.

9月中旬の夏の完全な終焉から,道路の交通量も非常に増えている.バカンス前の5月より出勤にかかる時間が明らかに長くなっている.しばらく来ない夏,仕方なく真面目に仕事に向かうといったところなのだろうか.

さて,明後日から東京に出張なので更新を中断します.11/2夜にローマに戻りますので,3日以降に再開します.

2010年10月25日月曜日

子供達の言語上達の早さ

先週の土曜日に,日本人学校で文化発表会があった.小学部3年生以上は,日本語で演劇をしたり,課題を発表したりしていたのだが,小学部1,2年生は,イタリア語で「はなさかじいさん」を演じるというのだ.しかも演技しながら30分近くも行うのだ.

最初これを聞いた時に,「いくらなんでもちょっと難しいんじゃないか?」と思っていた.1年生の我が家の次男は,本番の一ヶ月くらい前に,学校からCDを渡されて,それを聞きながら台詞を覚えていた.しかし,最初は悪戦苦闘していた.

それでも,練習する内に,きちんと覚えるものなのだ.しかも私なんかよりも格段に発音がいいので,ちょっとうらやましくなる.40歳から覚えるイタリア語は,その話し方は完全に日本語的だ.本人は必死で強弱やアクセントを付けているつもりなのだが,聞いている方は日本語的のっぺりな話し方に聞こえているはずだ.

さて,本番.1,2年生で10人,誰かは失敗したり,緊張して台詞が出てこなかったり,といったアクシデントがあると思っていたのだが,我が子を含めて,誰も一度もとちっていなかったのには,感心を通り越してあきれてしまった.発音やアクセントも素晴らしい.やはり発音に関しては,小さい頃からやればそれなりになると実感してしまった.

2010年10月21日木曜日

野菜の量り売りシステムで考えること

こちらでは,スーパーで野菜を買う時,例えばトマトを買いたければ,ビニール袋にトマトを必要なだけ入れて,コーナーに数台は置いてある量りに載せ,kg当たりの単価が示されているボードにある番号(トマトは○○番,レタスは××番というコードが付いている)を選ぶと,品名と値段入りのバーコードのシールが出力される.これをビニール袋に貼ってレジに持って行けばよい.

日本では,野菜は予め同じ量にパッキングされているか,出荷時に大きさがある程度揃えているようなので,ネギは一束○○円,しめじは一袋××円という具合に,好きな量が選べない.しかも,たぶん一パックが家族四人を想定した量になっていて,一人暮らしや子供がいない世帯にとっては不都合が多い.

この事前パッキングや,農家が規格を意識して大きさの揃った形の良い味の統一された生産物を作るために手間をかけることによって,価格が高くなっている気がしてならないのだ.

こちらでは,例えばメロンが安いことはこの前書いたが,その替わりに買ってみないと味が分からないのだ.たまにものすごく味の薄いものを買ってしまったりする.品質管理が徹底されていない替わりに安いのだ.しかし,こちらの料理家のアドバイスでは,匂いで甘みを判断するらしく,購入者側の知識で安くておいしいものにありつくことができる.

最初に紹介した「セルフ量り」も,小売り価格を下げるのにそれなりに貢献しているのだろう.それにしても,イタリアだからきっと重量をごまかしている輩が多いのではないかと心配になる.密かにたまに観察しているのだが,今のところそのような現場を目撃していないので,何か大きな抑止力が存在するのだろうか.ばれたらどんな罰則があるのか(バスや地下鉄のキセルは50倍の罰金だが...),どのくらいのインチキ率なのか,レジでチェックが効くのか,興味は尽きない.

2010年10月20日水曜日

ローマで初テニス

今日は唐突にテニスの話.大学時代にテニスをかなりやり込んだ時期があるのだが,大学卒業後はほとんどやっていなかった.二年くらい前に,健康管理のために,またテニスをやろうと思ってラケットを購入していたのだが,実際はなかなか時間がなくて実現できないでいた.ローマに来る時もテニスはやらないだろうと思い,ラケットは日本に置いてきた.それがちょっとしたきっかけから急にテニスをやることになったのだった.

イタリアではテニスは密かに盛んなのかも知れない.ほとんど目立っていなかったが,今年の全仏オープン女子はイタリアのプレーヤーが優勝しているし,女子のフェド杯は昨年に優勝,今年も決勝に駒を進めているようだ.ローマでは5月に比較的大きなテニストーナメントがあるのだが,クレーコートということもあり,6月の全仏オープンの前哨戦となっているらしい.少しくらいは見ておけば良かったとちょっと後悔.

今週の月曜日に,今回誘って頂いた同年代の男性3人組と夜8時にテニスコートで合流して,夜10時までナイターでテニスをした.場所は日本人学校近くの大きなテニスクラブだ.ここでは600ユーロくらいの年会費を払えば,好きな時間にテニスを楽しむことが出来るそうだ.ただし,レッスンも入っているため,実際は夜しか予約が取れないらしい.たぶんビジターでも1時間10ユーロくらいで借りれるのだと思う.横浜の自宅近くのテニスコートを借りると確か1時間4000円くらいかかるので,はるかに安い.

コートサーフェスはやはりイタリアで主流のクレーである.久しぶりの身にとっては足腰に優しくてよい.全員ほぼ同じ実力を持つメンバーでテニスを楽しむことができて,数年ぶりぐらいに本格的な運動をしたという満足感に浸ることが出来た.現在は想像通り,激しい筋肉痛で苦しんでいる.

ちなみに,大型ショッピングセンターなどに入っている大型スポーツ店DECATHLONでテニスラケットを購入しようとすると100ユーロ出せば結構いい物が買える.日本では20,000~30,000円くらいするので,道具も安いようだ.

2010年10月19日火曜日

ローマと東京:物価の比較(肉と野菜編)

こちらに来て思うのは,野菜や肉が大変安いことだ.決して豊かな財政条件で滞在している訳ではなく,子供達の食べる量が増えている状況の我々にとっては大変助かる.

どんな世界でも,食料品の購入先は,①大型チェーンのスーパー,②街角の八百屋・肉屋,③大型市場の三種類であることには変わりない.日本の場合は,最も身近な存在である②の存在感がないことが大きな問題だろう.最も安く購入できる③は立地条件が悪く,気軽に買い物が出来る状況にない.②は品揃え,価格とも①に全く歯が立たない.

それでも日本のスーパーで国産の豚肉を購入しようとすれば,せめて100g当たり150円くらいの価格帯でないと安心できない.牛肉に至っては,国産は特売でも100g当たり300円台後半だ.ローマでは,豚肉はどんなに高くても1kg当たり7ユーロくらいだ.牛肉は1kg当たり10ユーロくらい.肉の種類も七面鳥や仔牛(これはうまい),ラムまでと種類も豊富だ.私は経験がないのだが,街角の肉屋で買っても同じような価格であるらしい.そう,ローマでは東京の三分の一くらいの価格で肉が買えるのだ.ちなみに,価格表示はkg単位である点が面白い.日本の価格帯だと,kg単位の表記では消費意欲が薄れるリスクが高そうだ.

野菜はもっとラジカルに安い.スーパーではサラダに使うような青物野菜が1kg当たり2ユーロ弱で,②の中でもディスカウント指向の強い八百屋では,1kg当たり1ユーロしないのだ.根菜系も似たような単価か.果物は,メロンが1kg当たり2ユーロ前後,ブドウやリンゴなど他の果物も似たような単価である.日本でレタスを買うと,安い時でも一つ200円くらい,天候不順なシーズンだと300円くらいした記憶がある.感覚的には五分の一以下の価格である.

子供達には,「日本に帰るとこんなに肉が買えないから,今のうちにたっぷり食べておくように」と言っている.私も日本ではこんなに気軽にサラダが食べられないと思い,野菜中心の生活を送っている.

2010年10月18日月曜日

街中でジャンパー姿が急速に増える

10月に入ってからはやや厚手のジャケットと長袖シャツという出で立ちで出勤している.最高気温は20度以上,自宅を出発する朝8時前は15度くらいで,曇り空だがそんなに湿気を感じず,午後と夜中にパラパラと雨が降るというような気候パターンだ.9月までとの違いは,サングラスを全くしなくなったことだろうか.

今朝も8時前に子供達と一緒に自宅を出発したのだが,先週と同じ格好では明らかに寒かったのだ.街中では急速にジャンパー姿の人々が増えていた.今日のオフィスは,ジャケットを常時着ていないと寒くて仕方がなかった.それと手が悴んで,キーボードを叩くのにやや難儀したほどだ.

東京の11月中旬くらいの気候という感じだ.春から夏への移り変わりの時にも感じたのだが,ローマの季節の感じ方は東京よりも一ヶ月ほど早いようだ.11月の声を聞く頃には,早くも外出時にコート着用になるのだろうか.

2010年10月16日土曜日

高速道路料金所における無人ブースの不思議

イタリアの幹線高速道路は基本有料である.そのため,日本のように出入口には料金所なるモノが存在する.TELEPASSというETCに相当するシステムがあるが,その利用率は大変低い.ハイウェイカードのようなシステムもあるようなのだが(今度仕事で有料道路制度をちゃんと調べます),これも利用率が高くなさそうだ.それ以外は日本のNEXCOのように,入口で通行券を受け取り,出口で利用距離に応じた料金を支払う方式である.この利用者が圧倒的に多く,日本ではほとんどお目にかかれなくなった集約料金所(例えば東名で言えば東名川崎インター直近にある本線上の大型料金所のこと)の渋滞が健在である.

出口で料金を支払う時に,有人ブースと無人ブースがある.有人ブースでは通行券を渡して表示された料金を支払う.50ユーロのような高額紙幣を出すとイヤな顔をしてブツブツ言っているが,きとんとお釣りはくれる.私のこれまでの感覚的な観測によれば,1台当たりの所要時間は15秒程度で,1分当たり4台くらいは通過できる.

無人ブースでトラブルがあるとやっかいなので,つい最近まで有人ブースを必ず選んでいたのだが,昨日間違えて無人ブースに並んでしまった.おそるおそるマシンの前に辿り着いて観察すると,通行券を指定場所に投入し,表示された料金を紙幣やコインの投入口に入れるとゲートが開き,お釣りと領収書を受け取って退出する仕組みで,別に奇抜なモノではなく一安心.100ユーロ以上の高額紙幣は使えず,コインも2ユーロや5セント以下が使えないといった制約があるらしく,紙幣もしわくちゃだと投入が難しいようだが,あまり壊れているところを見たことがないので,支払機はそれなりに信頼性がありそうだ.

しかし,支払機の前に来て通行券を投入してから,お金を探し始めるドライバーが多いことには閉口した.結構な距離を乗っても10ユーロもしないのだから,最初からユーロコインや5ユーロ札を用意しておけと言いたくなる.これも後ろの行列を全く気にしないイタリア人の真骨頂だ.

結局,無人ブースでは一台通過するのに30秒くらいかかるのだ.有人ブースよりも圧倒的に効率が悪い.普通は省力化とスピードアップのために機械化をするはずなのだが,ここでは単に収受員が楽をするための支払機導入になっているのではという気がしてならない.

周りが見えないイタリア人?

先日バスに乗っている時にこんなことがあった.バス停でおばあさんがバスに乗ってきて,運転士に何やら目的地に行くのにどのバス停で降りたらいいか聞いているようだった.イタリア語が聞き取れないので,あくまで想像であるが,このおばあさんは運転士の返答を理解できないのか,納得がいかなかったのか,質問がなかなか終わる気配がない.その日は少し疲れていて,一刻も早く家に帰ってワインでも飲みたいと思っているところだった.そのうち,こちらもおばあさん相手に他愛もないと思いつつ,徐々にイライラしてくるのだった.

結局,4分くらい続いてたのだが,まだ不満の残っている様子のおばあさんはあきらめてドカッと着席して一件落着したのだった.携帯で話しながら,新聞や雑誌を読みながら,ひどい場合には横にガールフレンドを乗せながら乗務する運転士も結構いるし,普通なら走行しながら彼女の質問に答えることも出来るのだと思うのだが,そうしてはくれなかった.4分は続かないにしても,運転士と乗客の1分くらいの攻防は結構見かける.

窓口でサービスを待っている時にも,このように回答に時間を要する質問したりする人をよく見かけて,イライラする.こちらの窓口業務の効率が悪いのは,担当者の仕事が遅いのと同時に,客側の対応も問題だったりするのかも知れないと感じざるを得ない.

イタリア人は自分のことにしか興味がなく,周りを気にしない民族なのではと感じる.私は日本人なので,どうしても他人の目が気になってしまい,堂々と他人の時間を奪うような度強はない.暮らし初めて半年,この点はまだイタリアンウェイという訳にはいかない.

2010年10月14日木曜日

日本人学校のバザー:イタリア人とのささやかな交流

先週末の日曜日,子供達の通う日本人学校は,毎年恒例のバザーを開催した.何でも,幼稚園の運営にとってその収益は重要なのだそうだ.

バザーは午前11時前から午後3時過ぎまでで,小学部・中学部は焼き鳥とゲーム,幼稚園は飲み物,日本語補習校は何の担当だったか忘れたが,いくつかの日本食レストランや豆腐店,あるいはジェラート屋まで出店して,結構な賑わいであった.指圧コーナーまであったのには驚きだ.日本人会の企業から出してもらった景品をベースに,結構な当たり本数になる宝くじもやっていた.非常に力の入ったイベントである.

我々夫婦は焼き鳥班に配属となり,家内は二日前の金曜日に朝から夕方まで下準備に駆り出されている.当日朝は売り物となるおにぎりを自宅で決められた量を握り持参しなければならず,母親は結構大変なようだ.父親は当日に下準備の整った焼き鳥やフランクフルトを炭火で焼いたり,そのための炭おこしをしたりするだけだ.当日は幸い涼しい晴天だったので,めちゃくちゃ汗をかきながら焼くという状況ではなかった.

それにしても来場する近隣住民や親の仕事場のイタリア人スタッフの多いこと.朝,学校に向かって歩いていると,通りかかったおばあさんが「後で行きますよ(最近はこのくらいのイタリア語は何となく分かるようになっている)」と声をかけてくれた.あまりの人の多さで本当に来てくれたのかは確認できなかったが,かなり地元に根付いたイベントであることは間違いないようだ.楽しみにしている人が多いらしい.

ちなみに,焼き鳥屋は正午を迎える前に長蛇の列で,午後1時頃には完売状態だ.(我々はいないが)来年はもっと用意しておいた方がいいかもしれない.焼いているお父さん達はイタリア人にとって格好の撮影対象である.一方,涼しかったせいもあり,飲み物を売っている幼稚園は残念ながらやや苦戦だ.運営費は大丈夫か...宝くじもイタリア人の購入者も多いようで,抽選会は日本語とイタリア語の両方で行っていた.

やや残念なのは,仕事をしていたせいもあるが,せっかく来てくれたイタリア人とほとんど交流できなかったことだろうか.お互い言葉が分からなくてもいいから,何か一緒に出来るイベントがあってもいい気がした.

2010年10月13日水曜日

真っ赤なコロッセオを見て考えさせられたこと

ひょっとするとご存じの方もいるかも知れないが,先週夜に数日間,コロッセオが真っ赤にライトアップされていた.沈む太陽を一身に浴びて赤く光るような感じで,大変美しかった.初めて見た日はその意味が分からずにいた.

家に帰ってからインターネットで日経新聞のサイトを見ると,何と赤いコロッセオの記事があるではないか! 何と中国の温家宝首相がローマに来ていて,その歓迎を込めてこのようなことをしたらしいのだ.そう言えばトラムにも「イタリア中国文化年?」だったかの漢字のラッピング広告が出ていたが,たぶんそのスタートを記念して来伊していたのだろう.

しかしイタリアのテレビニュースで温首相が来ているなどとは聞いていなかった.翌日夜に違う方向から見てみると,写真のように,確かに「中意友誼」という文字が写っている.

最初,これはイタリアにいる中国人コミュニティーが許可を得て主体的にやっているのかと思っていたが,どうやら完全にイタリア側の演出らしい.

例えば日本の天皇がローマに来られたとして,こんな演出をしてくれるだろうか.あるいはオバマ大統領はどうか.恐らくこんなことはしないだろう.それほど中国の影響力は大きいのかと実感させられて,思わずあきれてしまった.

しかし片方では,イタリアに滞在する中国人(不法滞在も多い)は,雇用を奪う存在として,またイタリアコミュニティーになじまない異端な存在として,特に現政権の下では排斥のターゲットとなっているのだ.今度実際に見てきたいと思っているのだが,Firenzeの近くにPratoという都市があり,その人口の2割が中国人らしく,国営放送のニュースのトークコーナーで頻繁にその問題が取り上げられている.イタリアにとって,中国は経済戦略上もちろん大事であるが,ずかずかと入ってこられると困る.微妙な感情での歓迎だったのだろう.

それにしても,こちらに来てからでも,日に日に日本の力がだんだん弱くなっていくのを感じるのは気のせいだろうか...

2010年10月12日火曜日

今度はPisaの斜塔に昇る(2)

さて,いよいよ斜塔に昇る時がやって来た.高さが55mで側方に4.5mずれているので,垂直から5度弱傾いていることになる.斜塔の内壁に沿って螺旋階段が付いていて,頂上までの段数は300段弱のようだ.

階段は石で出来ており,中央部がやや削られてくぼんでいるので,個人的には歩きやすいと思う.昇りながら左右に微妙に傾いたり,妙に昇りやすかったり,昇りにくかったりするのは,慣れてくると大変面白い.途中のフロアーに強制的に立ち寄らなければならない.この間に,前の時間帯の入場者が入れ替わりで降りていくのだ.

このフロアーでは,どうしたら傾いている様子を写真に上手に収めることが出来るか,多くの人がトライしている.私が撮影した中で最も傾きが分かる写真を載せる.

ここで5分くらい滞在した後に一気に頂上を目指す.頂上部ももちろん傾いているので,柵を跳び越えて下に落ちてしまいそうな不思議な感覚になる.高所恐怖症のヒトはややつらいかも知れない.

10分くらい滞在すると,降りるように指示を受ける.傾きの方向によって妙に足に負担のかかる部分があるので,下りの方が要注意だろう.8歳未満(現地でもらった資料によれば,入場制限は9歳未満ではなく8才未満が正解でした)でなくても,小学校にさえ行っていればそんなに危険でないと思うのだが.

このPisaの斜塔では,史実は違うようなのだが,やはり鉄の玉と木の玉を同時に落としてみたくなる.これをやらせてもらうのに5ユーロくらいだったら払っても良い.先日のカラカラ浴場でも感じたが,修復費用を捻出するのに,もう少しがめつく商売してもいいのではないだろうか?

2010年10月11日月曜日

今度はPisaの斜塔に昇る(1)

10月初めにFirenzeに行ったことは既に書いている.Firenze自体は2日くらい滞在すれば主要な観光施設を巡ることが出来る規模だ.今回は2泊3日だったので,鉄道で1時間くらいで行けるPisaにも足を伸ばすことになった.

Pisaは今回で2回目である.前回は新婚旅行で,やはりFirenzeから足を伸ばした.当時はPisaの斜塔は倒壊の危険性があると言うことで,立ち入り禁止にして基礎工事をやっていたので,斜塔には昇っていない.

斜塔には,20分おきに最大30人くらいのグループで係員の誘導の下で入場する.予め日時を指定してインターネット予約しておくことが出来る.飛び込みで行っても空いていれば可能であるが,やはり週末はリスクがあるだろうから,やはり事前予約がお薦めだ.インターネット予約サイトが非常に分かりにくいので要注意だ.

斜塔には,9歳未満の子供は入場できないとの注意書きがある.我が家の次男は6歳なので,これに引っかかる.ブログでは,5歳でもごり押しで入場できたとか,やはり入場できなかったとか,様々な情報がある.予約サイトはカード決済が必要なので,覚悟を決め,次男も含めて人数分予約した.ちなみに入場料は一人15ユーロ,事前予約料は4ユーロだ...

当日,プリントアウトした事前予約証書を券売所で提示.予約時に本人確認のためパスポート番号の入力が求められるのだが,やはり提示を求められる.ここでは,同行者の年齢などのチェックは行わない.荷物はカメラやビデオ以外持ち込めず,指定場所に預ける必要がある.

さて,いよいよ入場だ.次男には年齢を聞かれたら9歳と言いなさいと指示してある.次男より15cm以上身長の高い9歳の長男には,これと整合するように11歳と言うよう指示(笑).二人とも背は高い方なので,たぶん大丈夫だろう.結果から言うと,年齢を聞かれることなく入場できた.これは例によって人によるのか,そうでないのかは不明だ.

さて,頂上部では4.5m傾いているという斜塔.その階段の昇り心地はどうだろうか? 続きは次回.

2010年10月8日金曜日

Uffizi美術館で思ったこと

UffiziはFirenzeを代表するイタリアでも屈指の美術館だ.ルネッサンス時代のFirenzeの雄Medici家の所蔵していた美術品が展示されている.有名なものは,Botticelliのビーナスの誕生と東方三博士の礼拝,Leonardo da Vinciの受胎告知,Vecellioのウルビーノのビーナス,Raffaelloの自画像といったところだろうか.

これらの見るべき作品のリストと概要は,どんなガイドブックにも書いてある.ややもすると,「これだけは見ておきたい」というフレーズ通りに,駆け足でそれだけを見て終わりとする人も多いだろう.何を隠そう,芸術分野の興味が薄い私もそのタイプに近い.

そんな私でも,最近は作風をみるとその年代が大体分かるようになってきた.明らかに分かるのがルネッサンス前のもの.言い方は悪いが,はっきり言ってへたくそで,とても芸術品とは思えない.ルネッサンスとそれ以降のバロックの違いも大体感覚的に分かるようになってきた.教会に所蔵されている絵画やフレスコ画,あるいは建築物についても同じだ.

6月末に日本に一時帰国した時に,高校の世界史教科書の詳細版を購入してきて,それを最近は夜な夜な読んでいる.高校時代は世界史を選択しなかったので,その内容は大変新鮮である.歴史というと,事実とその正確な年号を意味なく覚えさせられた記憶しかないのだが,その時の反省を踏まえて,どうしてその出来事が起きたのかを,その時代背景とともに理解するようにしている.

何で唐突にそんな話をしたのかというと,実は感覚的に理解できるようになった原因がこれではないかと自分自身で感じているからなのだ.Uffiziは新婚旅行でも見たのだが,失礼ながら全然印象に残っていなかった.単に眺めたに過ぎないからだ.

世界史を理解すると,キリスト教も王朝も,その権威主義では変わりはなく,その誇示のために建築物や美術品に散財していることが手に取るように想像できる.後はキリスト教の創世期の物語や,その後の分派の理由をそれなりに理解しておけば,例えば受胎告知や聖母子,キリストの昇天などの典型的な美術品の意味や作品間の微妙な違いがより分かるようになると思う.

結局Uffiziで痛感したことは,歴史の知識無しに美術品を見ても時間とお金の無駄であるという,至極最もな事実だ.

2010年10月7日木曜日

相変わらず美しいとしか言えないFirenze

観光でイタリア四大都市といえば,Roma, Milano, Firenze, Veneziaだ.人口ではRoma, Milano, Napoli, Torinoの順になるので,FirenzeとVeneziaはそんなに大きな街ではない.Veneziaは水上交通であるバポレットで動かなければならないので,街の大きさの割には移動に時間がかかる.一方Firenzeは,主要な観光施設がほぼ徒歩圏内にあって大変コンパクトでいい.しかし,重量級の施設が多いので,堪能するには大変時間がかかる.今回は新婚旅行で来て以来の久しぶりの来訪だ.

Firenzeの三大観光施設と言えば,Duomo (Santa Maria del Fiore),Uffizi美術館,Pitti宮だろう.Pitti宮はスケジュールが合わなくて行けなかったので,滞在中に再チャレンジしたい.Uffizi美術館は感じたことを別途書きたいので後回し.

Duomoはやはりドームの頂上にあるクーポラが見所だ.500段近い段数を昇るのだが,サンピエトロ大聖堂のようにショートカットできるエレベーターはないので,運動不足の身にはかなりきつい.一人8ユーロで,子供は無料にしてくれた.Duomoにはクーポラよりもやや低い鐘楼もあり,こちらにも昇ることが出来る.もちろん,待ち時間はクーポラの方が長い.

クーポラへの階段は,上半分のかなりの部分で,昇る人と降りる人の動線が重なっているので,大混雑する.この処理は何とか対応を考えてもらいたいところだ.昇り初めて20分くらいで何とかクーポラに到着.ここからの眺めは苦労した甲斐があるすばらしさだ.我々が昇った日は快晴だったが,赤茶色に統一された建物の屋根が一段と映えるのだ.

 Duomoだけでなく,Santa Croce,Santa Maria Novella,San Lorenzoの各教会もFirenzeのおなじみだ.これらは正面のファサードの大きさにも圧倒されるが,クーポラから眺める姿も,その異様な大きさを感じられてよい.

Duomoは教会本体,鐘楼と洗礼堂がセットであるが,もちろんそれらのデザインも,緑を基調としてなかなか品がある色だ.Duomoとしても感動度の個人ランキングは,今のところOrvieto,Palermoの次くらいか?

街に流れるArno川.この川沿いの街並みは,有名なVecchio橋を含めて,Firenzeの観光地としての実力を感じさせてくれる空間だが,水が汚いところがやや残念だ.少し歩く(バスでも行ける)が,Arno川の南側にあるMichelangelo広場からのFirenze中心部の眺め,特に夜景は最高だ.

12年ぶりに訪れても,街は全然変わっておらず,相変わらず美しいと感じざるを得なかった.今後何十年も同じ姿でいて欲しいものである.

2010年10月6日水曜日

FSの自動券売機はぼったくりマシン?

Roma Termini駅のようなイタリア国鉄FSの大型ターミナル駅では,有人のチケットカウンターは日頃からものすごく混んでいて,長時間列に並ばなければならない.長距離は昨日も書いたようにインターネットで事前購入が可能なので,チケットをプリントアウトできる環境があれば大丈夫だ.しかし,近郊線は事前購入が出来ない.それでも,チケットカウンターがいやならば,自動販売機や駅構内のBarで購入することも可能だ.

さて,この自動販売機で,これまでに三回切符を購入したことがあるが,そのうち二回もトラブルに遭っている.

一度目は5月の始めくらいに,RomaのTrastevere駅で,Fiumicino空港まで日本から出張してきたゲストを迎えに行く時だった.この時は,月曜日の朝なのに有人カウンターが開いていなかった.BarでFSのチケットが買えることを知らなかったので,何の疑いもなく自動販売機で切符を購入することに.運賃は8ユーロだが,財布には10ユーロ紙幣は入っておらず,20ユーロ紙幣で購入した.切符はきちんと発券されて出てきたが,お釣りが一向に出てこない.呼び出しボタンらしきモノがあるが,これは機能していない.駅係員も見あたらない.恥ずかしかったが自動販売機を叩いたり蹴ったりしてみても,全然出てくる気配がない.落ち着いて画面を見てみると,「お釣りは9ユーロまで」と書いてあるではないか.高額紙幣で購入することを全く想定していないのだ.結局,12ユーロは泣き寝入りだった.

二度目は先の週末にFirenzeの中央駅だ.Pisa行は自動販売機で往復割引(50%)切符が購入できたので,Barは止めて自動販売機で購入ことにした.大人5人,子供2人だったが,一度に6人分しか買えないので,まずは大人分をまとめて買うことにする.一人5.8ユーロで計28ユーロだ.20ユーロ札と5ユーロ札2枚を投入して,無事発券と思いきや,最後の一枚が機械に引っかかって出てこない上に,お釣りも出てこない.呼び出しボタンはまたもや効果なく,腹いせに思いっきり蹴ってみる.最終的には有人カウンターに割り込み,英語で顛末をまくし立てたところ,レシートで投入金額と実際の発券枚数を確認されて,総額にちょっと足りない額までリファンドしてくれた(たぶん面倒だったので適当に支払ったのだろう).それでも割引が効かないBarのチケットを購入するよりは断然得をしたと,自分自身を納得させてジ・エンド.

それにしても,乗車時の検札で切符がなかったり,刻印がなかったりすると結構な罰金を取るくせに,肝心の切符の購入環境が著しく悪いのは何とかならないかと思う.自動販売機の機能や性能は,これが壊されることが前提となって決まっているのだと思う.このような事情が分からない乗客から見れば,ちょっとしたぼったくりマシンである.それでも自動販売機があるだけましで,Roma市内でも小さい駅は設置されていないところもあり,日曜日にはBarが閉まってしまうので,切符を購入することが全く不可能なのだ(一度これが原因で無賃乗車したことがある)...

2010年10月5日火曜日

イタリアで初めて高速鉄道に乗る

こちらに来てからもう半年になるが,今までイタリアの高速鉄道に乗っていなかった.8月上旬に車を持つまでは,ベネチアとドロミテを除いて,ローマから150kmくらいまでの範囲内をレンタカーで動き回っていた.車を持ってからシチリアに行ったのは既に書いたとおり.先日のナポリとシチリア出張もレンタカーと飛行機だ.

先週末に日本から親族が来伊し,この週末でさっそくFirenzeに連れて行くことになった.大人数ではマイカーで動くことが出来ない.FirenzeはRomaから300kmくらいなので鉄道の距離だ.高速鉄道なら1時間半くらいである.と言うわけで,高速鉄道を使うことになった.

Termini駅の切符販売カウンターはいつもものすごく混んでいて,とても並ぶ気はしない.しかし,最近はインターネットでチケットを購入することができる.イタリア国鉄FSのホームページで会員登録をすれば誰でも購入可能.英語ページもあるので,イタリア語が分からなくてもOKだ.座席指定もできる.早めに購入したり,団体で購入したりすれば割引もある.購入手続き後,返送されてくるチケットをプリントアウトして持参するだけで,刻印の必要もない.大変便利だ.

この高速鉄道,グレーを基調に赤いラインが入っている見かけはスタイリッシュなものだ.乗車した2等車は横4列(ちなみに1等車は横3列)で,シートピッチは日本の新幹線よりはだいぶ狭い感じがする.インテリアはやや安っぽい内装だが明るい印象だ.トイレは駅のものよりは清潔だろうか.座席のリクライニングは背もたれを倒す方式ではなく,椅子の部分を前方にスライドさせる方式なので,対面式配列ということを考えると,実質的に使えないと思った方が良い.

8時45分の定刻から数分遅れて出発.10分くらいするとRoma市街を抜け,線形も良くなってだいぶスピードが出てくる.Roma側では在来線と供用(普通列車とすれ違っていたので),Firenze側はほとんど新線区間というような印象だ.保線レベルはよく分からないが,特にRoma側の乗り心地がかなり悪かった.車両側のサスペンションの質があまり高くないのだろう.トップスピードは200km/hは出ているが,250km/hまでは出ていないような感覚だ.

遅れて出発した列車は10時20分頃,ほぼ定刻でFirenze S. M. N駅にノンストップ到着.15分くらい停車して折り返していき,Venezia S. L.駅に向かう.帰りも定刻出発,定刻到着だったので,割と正確に動いているようだ.

たった一往復の経験だが,私の総合評価は2時間くらいまでならまあ我慢できるといったところだ.すなわち,Napoli, Firenze, Bolognaくらいまでは高速鉄道で,それより遠いVeneziaやMilanoは飛行機でといった使い分けになる.

2010年10月1日金曜日

European Culture Dayで入場料が無料に

9/25と26はEuropean Culture Dayと称する週末だった.これはイタリアの国立の博物館・美術館・遺跡などが無料で入場でき,これらの施設では各種イベントが行われる,毎年恒例の行事のようだ.4月の文化週間の時にも,9月にもう一度入場料が無料になる時があると聞いていたのだが,すっかり忘れていた.偶然テレビのコマーシャルを見て思い出すことになったのである.

しかし,どこが国立の施設なのかは,インターネットを見ていても今ひとつ分からない.我々はカラカラ浴場を残してたし,サンタンジェロ城にも入っていなかった.これらが国立だといいのであるが,研究所で同室のF女史に聞いても,分からない.「逆にあなたの方が詳しいんじゃない?」と言い出す始末.恐らく国立の施設が無料で入れることも知らないだろう.何とかインターネットでイベント情報を発見して,どうやらカラカラ浴場とサンタンジェロ城が国立らしいことが理解できたので,久しぶりのローマ観光を愉しもうということになった.

カラカラ浴場は確かに無料であった.どこにもチケットを確認する場所がないのに,券売所でチケットが渡される.こういうのが資源の無駄遣いと無用のゴミを生み出す基なんだが.通常は一人6ユーロだと思うが,はっきり言ってこれは高いと思う.もうちょっとしっかり保存して,部分的に本当に浴場にしておくくらいの演出があってもいいのではと感じる.現状では単なる打ち捨てられた遺跡だ.モザイクのタイル床は部屋によって模様が異なっており,これがやや見所といったところだ.

次にサンタンジェロ城へ向かう.ここももくろみ通り無料だ.通常は5ユーロくらいだったか.ここはカラカラ浴場と比べて混んでいたが,これは無料の効果だろう.ここは国立博物館だが,お目当てはテラスからの眺望だ.緩やかな坂と階段を昇る必要があるが,近隣のサンピエトロ大聖堂のクーポラよりははるかに楽だ.ただ,楽であるが故に,クーポラからの眺望に勝つことは出来ない.そう考えると,5ユーロは高い.

これでローマの屋外系の観光施設はだいたい訪問し終えたことになる.後は博物館と美術館だ.これは秋と冬にとっておいたので,子供が学校に行っている時間帯にゆっくりと堪能しよう.

私用により不在とするので,次は10/5に更新します.