今日は少し真面目な話.ちょっと古い話だが,11月10日にローマで毎年開催される自動車業界の会議であるH2Romaを聴講した.私が現在所属する研究所が主催者に入っており,私にもメールで案内が回ってきたので,せっかくだから行ってみることにしたのだった.
H2Romaは,自動車の技術開発動向について,産官学で定期的に情報共有することが目的だと理解した.学術セッションしか聴講しなかったが,自動車会社の幹部クラスによるセッション,高校生に自動車技術を分かりやすく講義するイベントなどもあって,かなり大がかりなものだっだ.
学術セッションでは,環境対応車両の開発戦略と状況について,確か10くらいの会社から報告があった.プレゼンは一部英語であったが,ほとんどがイタリア語.しかし,きちんと同時通訳がされていたので,内容はかなり理解できて一安心.
環境分野では,やはり日本の自動車会社のプレゼンスは高いと感じることができ,日本関係でいいニュースを聞かない昨今,少しはホットすることができた.ホンダは参加していなかったが(最近ちょっと心配),トヨタ,日産,三菱からは話を聞くことが出来た.プラグイン・ハイブリッド(トヨタ)と電気自動車(日産・三菱)の戦いが,本格的に始まろうとしている時期であり,プレゼンでも相互の対抗意識がちらついている.
それに比べると,ドイツのメルセデス,BMW,ポルシェ,あるいはフランスのシトロエンは,既に社運をかけた戦略を披露した日本勢と比べるとまだ様子見という雰囲気が漂う.確かに,充電池の性能がどこまで上がるのか,レアメタルなどの原材料がどのくらい確保できるのか,様々な不確定要素があるようなので,開発に多大なコストがかかる状況で経営者としては難しい判断を迫られるのだろう.
我がイタリアのフィアットは,既存エンジンを改良して効率を上げるようなシステムを紹介していた.考え方としては分かるが,日本・ドイツ勢と比べると何とも前時代的で地味である.会社の存続が厳しいので,新規開発どころではないのだろうか.フィアットの将来が非常に心配である.
それにしても,自動車の将来を語るのも重要であるが,その前に,ローマでは交通流をきちんと管理して欲しいものだ.エネルギー消費の少ない電気自動車の登場を期待して,そのまま自動車中心の交通システムを続けるつもりなのだろうか?
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