パレルモはシチリア島の中で最も人口(約60万人)が多い.船から見た限りでは,規模は違うが,湾と両側を山で囲まれた天然の要害の鎌倉のような感じの地勢に見えなくもない.シチリアは紀元前6世紀くらいにギリシャの影響を受けて発展したが,その頃はギリシャから近い東部と南部が中心であったようだ.恐らくその後のローマ帝国時にパレルモを含む北部が発展しだしたのだろうと想像する.その後はアラブ,ノルマン,アラゴンの支配を受けてきたので,これらの影響を強く受けたギリシャ様式,アラブ=ノルマン様式,バロック様式の建築物がたくさん残っている.ギリシャやバロックはシチリア中にあるのだが,アラブ=ノルマン様式はたぶんパレルモとその近郊でしか見ることができないのではないだろうか.
ここパレルモでは一泊することになっていた.到着後,予約したホテルに向かう.しびホテルはかつて住居だった部分をホテルに転用したらしく,入口が分かりにくかった上に,建物入口とレセプション入口で鍵が掛かっているので呼び鈴を鳴らさなければならない.逆に言うとセキュリティーレベルは高い.治安の悪いと言われているここシチリアではこのくらいやらないと危険なのだろうかと思わず考えてしまったほどだ.使用予定の部屋の清掃が済んでいなかったので,荷物だけ預けて観光に繰り出す.ちなみに駐車場は前面道路に路駐を余儀なくされる.中央駅から近いのに人通りも少ない街路だったので,思わず車上荒らしにあってしまうのではと心配になったが,結果から言うとトラブルはなし.
まずは何と言ってもアラブ=ノルマン様式の王宮Palazzo dei Normanniと併設されている教会Cappella Palatinaだ.王宮は議会場となっているので,火曜から木曜は見られないようだ.それ以外は主要な部分をガイド付き(イタリア語のみ)で見ることができる.今回は月曜日だったのでもちろん見学可能だ.それでも,やはり感動するのは王宮よりは教会だ.金をふんだんに使ったモザイクの内装は,往事の支配力と経済力の強さを物語っている.キリシタンではないので,教会を見ても正直言えばそんなに感動しないのだが,ここは別格のようだ.
次に向かったのは王宮近くの教会San Giovanni degli Eremitiだ.教会自体は機能していないようで,修復工事中であったが,一人1.5ユーロくらだったと思うが,鐘楼に昇ることは出来る.そこからはこの教会独特の赤茶けたドーム群と王宮,パレルモ中心部の素晴らしい景色を眺めることが出来る.ここはお薦め.次はやはり王宮近くの教会Cattedraleに向かう.これは一転して白を基調とした内装で,金ぴかを見せられた後には何となくホッとする(笑)が,その大きさは結構圧倒される.ノルマン時代のパレルモは裕福だったのであろう.
続きは次回.
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